皆さんこんにちは、トンプソンです!
陸上競技の強豪国と言えば、アメリカ、ジャマイカ、ケニアをイメージする方も多いのではないでしょうか?
しかし、ヨーロッパのこの強豪国を忘れてはいけません。
それが「イギリス」です!
短距離、中長距離、フィールド競技と様々な競技で国際大会でのメダル実績があり、近年スプリントではその強さが再注目されております。
今回は、そんなイギリスで100mと200mのイギリス記録を持つ
ザーネル・ヒューズ(Zharnel Hughes)選手を紹介していきたいと思います。
プロフィール
●本名:ザーネル・ヒューズ(Zharnel Hughes)
●国籍:イギリス(2015年までアンギラ代表)
●生年月日:1995年7月13日生まれ
●身長:190cm
●体重:82kg
●自己ベスト:100m=9秒83、200m=19秒73
●主な実績:2024年パリオリンピック男子4x100mリレー銅メダル🥉、2019年ドーハ世界陸上男子4x100mリレー銀メダル🥈、2022年ユージーン世界陸上男子4x100mリレー銅メダル🥉、2023年ブダペスト世界陸上男子100m銅メダル🥉
幼少期~アンギラ代表のキャリア
ヒューズ選手は2024年現在はイギリス代表として、オリンピック・世界陸上やヨーロッパ選手権、その他の大会に出場していますが、実は出身はイギリスの海外領土である「アンギラ」という島国。

アンギラはカリブ海にあり、ジャマイカ、トリニダード・トバゴを始めとする、数々のスプリンターを輩出してきた地域にある島です。
後ほど説明をしますが、彼は2014年までアンギラ代表として国際大会に出場し、2015年からはイギリス代表として競技をしております。
彼は10歳の時から陸上競技を始め、若手の時点で早くも頭角を現すことになります。地元アンギラのスポーツの日に開催された陸上大会で、数々のメダルを獲得することになります。
これは、ヒューズ選手の走りを見た当時の学校の先生たちに勧められて出場し、見事にその才能を見せつけました。
後に彼は本格的に陸上競技を始め、2010年に14歳の時に初めての国際大会を経験します。
これは「CARIFTA Games(カリフタゲームス)」と呼ばれる、カリブ海地域で行われる国際大会でした。ここで彼は男子100mの決勝に進出し、8位入賞という結果を収めます。
2012年に、ヒューズ選手は世界ジュニア選手権(現在のU20世界選手権)に200mに出場し、20秒90のアンギラ記録を出しますが、準決勝で敗退してしまいます。
同年にヒューズ選手は、ワールドアスレチックス(国際陸上連盟)の奨学金を手にし、ジャマイカにあるキングストン大学に入学します。
陸上大国ジャマイカの雰囲気を肌で感じながら、ヒューズ選手はさらに自身に磨きをかけていきます。
2014年にジャマイカの学生選手権に出場したヒューズ選手は100mで大会記録となる10秒12を叩き出します!
この記録は、ジャマイカのヨハン・ブレーク選手が保持していた記録で、
「俺の記録は破られないよ!」
とヒューズ選手に直接言っていたにも関わらず、破られてしまいました。
さらに200mでは20秒32を記録しましたが、このレースで怪我をしてしまい、準決勝以降に進む事はできませんでした。
(ちなみにこの20秒32という記録は、2014年のU20の200mで1位の記録でした)
イギリス代表へ
2014年が順調だったこともあり、本格的に世界に目を向け始めたヒューズ選手でしたが、1つの問題が発生します。
それは、
国際オリンピック委員会がヒューズ選手の故郷であるアンギラを、オリンピック代表団の一員として認めていなかったという事です。
世界陸上など陸上の大会では、1つの代表団として認められているので出場可能ですが、オリンピック委員会から見ればアンギラはあくまでもイギリスの海外県の1つとしてしか見られておらず、アンギラ代表としてのオリンピック出場は不可能という事でした。
2016年には、リオデジャネイロオリンピックが控えており、なんとしてでも出場したいヒューズ選手。
選択肢は、2つありました。
1つは、イギリス代表として選手登録を変更すること。
もう1つは、母の故郷であるジャマイカ代表として出場することです。
悩んだ末に、ヒューズ選手は今後の競技人生をイギリス代表として活躍することを決めました。
しかし、イギリスの世論は様々でした。
「イギリス本土出身ではない人が、イギリス代表として出場するのは良いことなのか?」
「これによって資金獲得競争が激化するのは良くないのでは」
しかし、ヒューズ選手は元イギリス代表で2004年アテネオリンピック男子4x100mリレーの金メダリストであるダレン・キャンベル氏などのサポートを受けながら、イギリス代表としての参加が認められることとなります。
(2003年パリ世界陸上で、あの末續慎吾選手と激闘を繰り広げたキャンベル選手、写真真ん中)
無事にイギリス代表としての出場資格を得たヒューズ選手。
2015年から彼はいきなり進化を見せます。
2015年
同年にロンドンで行われたグランプリレースで200mで20秒05をマークすると、世界陸上北京大会では決勝に進出して20秒02をマークして5位に入賞します!
2016年
とうとう迎えたオリンピックイヤーでしたが、残念なことにヒューズ選手は出場できなくなってしまいます。
右ひざの靭帯を損傷し、2017年のシーズン序盤までリハビリに追われることになってしまいます。2015年の活躍から一転してしまいました。
2017年
2017年には、自国であるイギリスで開催された世界陸上ロンドン大会で、男子200mに出場するも20秒85というタイムで準決勝敗退となってしまいます。
2018年からは徐々に復活も見せます!
2018年
同年のコモンウェルスゲームス(イギリス連邦国に加盟している56の国と地域が参加するイギリス連邦版オリンピック)でイングランド代表として男子200mに出場し、決勝へと駒を進めます。20秒12というタイムで1着でゴールし優勝かと思われましたが、隣のレーンを侵害したとして失格となってしまいました。
その後行われた男子4x100mリレーでは、イングランドチームの2走として走り、38秒13のタイムで見事優勝をします!
同年6月には、グランプリレースで100mの自己ベストとなる9秒91をマークし、見事10秒の壁を破りました👏
2019年
2019年には、カタールで開催された世界陸上ドーハ大会で、男子4x100mリレーのイギリス代表として2走を走り、37秒36のヨーロッパ新記録をマークし銀メダルを獲得しました!
また、男子100mでも決勝に進出し、6位という結果を収めております!ヒューズ選手がついに世界レベルの選手となりましたね!
2021年
いよいよ自身初めてのオリンピックとなる東京大会に出場したヒューズ選手。
男子100mでは順調にラウンドを進めていき、決勝進出!
しかしここで、悲劇が彼を襲います。。
なんと、フライングで失格となってしまいました。
気を取り直して迎えた、男子4x100mリレー決勝。
イタリアとの壮絶なデッドヒートの中、イギリスは見事銀メダルを獲得します!!!!👏
が、しかし、
のちに、イギリスの1走を務めたCJ・ウジャ選手のドーピング違反が判明、、、
失格となり銀メダルをはく奪されてしまいました。。。。
念願のオリンピックに出場を果たしたヒューズ選手でしたが、苦汁をなめる結果となりました。
2022年
2022年、アメリカで開催された世界陸上ユージーン大会。
男子4x100mリレーの2走を務めたヒューズ選手は37秒83で銅メダルを獲得!!! 2大会連続のメダル獲得となりました。
同年にドイツで開催されたヨーロッパ選手権では、100mを9秒99で銀メダル、200mを20秒07で金メダル、4x100mリレーを37秒67で金メダルを獲得するという活躍を見せます。
2023年
ニューヨークグランプリに出場したヒューズ選手は、ここで9秒83の自己ベスト及びイギリス新記録をマークし、好調を見せます!
また、6月にロンドンで行われたダイヤモンドリーグでは200mに出場し、19秒73という自己ベスト及びイギリス新記録をこの種目でもマークします!👏
新型コロナウィルスが流行した影響により、各世界大会が後ろ倒しとなり、2年連続で開催されてた世界陸上。ブダペスト大会にヒューズ選手は出場しました。
男子100mでは決勝に進出し、スタートは出遅れたものの後半の伸びをみせて見事に9秒88のタイムで銅メダルを獲得します!!
同大会の200mにも参加し、決勝進出を果たしましたがここでは20秒02のタイムで惜しくも4位に終わっています。
男子4x100mリレーにも参加しましたが、37秒80というタイムでここでも惜しくも4位という結果に終わっています。
2024年
パリオリンピックに出場したヒューズ選手は、このシーズンでは自己ベストからほど遠い10秒00というシーズンベストでした。
男子100mではシーズンベストに迫る10秒01をマークするも準決勝敗退。
しかし、男子4x100mリレーでは決勝でアンカーを務め、バトンをもらった時点では5~6位につけていたものの、2024年のシーズンベスト以上の走りを見せて順位を上げ、なんと37秒61のタイムで銅メダルを獲得します!!!
2024年はあまり調子が良くなかったヒューズ選手でしたが、最後の最後で力を見せました!!
また、3年前に失格となってしまったオリンピックでのメダル獲得の雪辱を果たしましたね!!!
※この時のヒューズ選手のアンカーのラップタイムは何と、世界歴代3位の8秒78!!!!!(すごい、、。)
2025年
5月に行われたadidas アトランタシティゲームズに出場したヒューズ選手は、直線の200mに出場し追い風2.2mと非公認ながら、19秒55という好タイムで走りました!
9月、世界陸上東京大会に出場したヒューズ選手はまず男子100mに出場します。予選を10.06の組2着で通過したヒューズ選手は準決勝でタイムを上げ10.03をマークしますが、決勝に進出することは出来ず2大会連続のメダル獲得を逃しました。
続く男子200mでは予選を20.07、準決勝で19.95をマークして決勝に進出します。決勝では19.78という好タイムをマークしたにもかかわらず、5位に終わりました。
年次ベスト


その他の情報
●ヒューズ選手の趣味はテレビゲーム、サッカーを見ることでイングランドプレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドのファンとのことです。
●ヒューズ選手は自家用航空機の免許を持っています。
「飛行機で飛んでいるときは、陸上競技よりプレッシャーが少なくリラックスできる。上空を飛び、景色を眺め、取りになったような気分になれるし自由を感じることができる。」
と語っています。
●そんなヒューズ選手のニックネームの1つは「Captain(リーダー、機長)」で、あのウサイン・ボルト選手が名付け親とのこと。
実は、ヒューズ選手は練習拠点をウサイン・ボルト、ヨハン・ブレーク選手と同じレーサーズ・トラッククラブにしており、一緒に練習していました。
SNS
●Instagram
https://www.instagram.com/zharnel_hughes?utm_source=ig_web_button_share_sheet&igsh=ZDNlZDc0MzIxNw==
まとめ
Embed from Getty Imagesキャリアが長いヒューズ選手ですが、そろそろベテラン選手の仲間入りとなりそうです。
100m、200mには世界中にたくさんのライバルたちがいる中、世界陸上個人でもメダルを獲得しているヒューズ選手は世界と互角に戦えていると言えます。
今後のヒューズ選手の活躍に期待しましょう!
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
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