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中国の英雄となった男、ソヘイテンの経歴まとめwiki(蘇炳添, Su Bingtian)

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みなさんこんにちは、トンプソンです!

陸上競技をやっている方ならほとんどの人が注目するであろう、100m競走

アジアの中では日本が強豪国として昔から君臨しており、1932年ロサンゼルスオリンピックでは、暁の超特急と呼ばれた吉岡隆徳さんが決勝進出して6位、近年では世界陸上で2度決勝に進出しているサニブラウン・アブデル・ハキーム選手が有名ですが、それらの選手よりもさらに先を行く選手が2021年東京オリンピックで現れました。

その名も、


ソヘイテン(蘇 炳添)選手


陸上ファンなら2021年以前からご存じの方もいるとは思いますが、彼を一気に有名にしたのは間違いなくこの2021年東京オリンピック男子100mの準決勝だったと思います。

今回は、そんな中国の国民的英雄である、ソ選手について紹介していきます!!

プロフィール

●本名:ソ・ヘイテン(蘇炳添、Su Bingtian)
●国籍:中華人民共和国
●生年月日:1989年8月29日生まれ
●身長:172cm
●自己ベスト:60m(室内)=6秒42アジア記録、100m=9秒83アジア記録
●主な実績:2021年東京オリンピック男子4x100mリレー銅メダル🥉、2015年世界陸上男子4x100mリレー銀メダル🥈、2018年世界室内陸上男子60m銀メダル🥈

ソヘイテン選手のキャリア

生い立ち

ソ選手は、中国の広東省で農家を営む両親の元生まれ育ちます。(ソ選手が中国で国民的英雄になった後は、父は警備会社に、母はベビーシッターとして働いているようです。)

ソ選手が初めて陸上競技と出会ったのは中学生のころで、学校の体育の先生に声をかけられたのがきっかけでしたが、このころは陸上競技を専門にやっていたわけではありませんでした。
それでもソ選手は当時、100mを11秒72で走るという才能を見せており、本格的に練習していないにもかかわらず、市で2番目に速いタイムを持っていました。

ちなみに、ソ選手の現在の妻であるリンさんと出会ったのも中学時代でした。



まもなくしてソ選手は、地元である広東省の陸上チームへ加入し本格的に陸上競技を始めました。
当時のコーチであったヤン氏は、1980年代に100mの中国記録を持っていた実力者であり、自身も身長170cmとソ選手と似たような体格を持った選手でした。
ソ選手が広東のチームに加入した当初は、その恵まれているとは言い難い体格のせいで、ほかのコーチからは陸上で伸びる見込みがないと思われていましたが、ヤン氏だけは違いました。
ヤン氏はソ選手の走りのストライド、テンポ、競技に対する真面目さを評価しており、その才能を早くも見抜いていました。

ヤン氏曰く
「ソ選手は当時から几帳面で集中力もあり、競技に対する姿勢がプロ選手のようで、私がこれまで指導してきた選手の中で彼ほどスポーツに打ち込んでいる選手はほとんど見たことが無かった。」

と、言葉を残しています。

2009年

2009年、20歳になったソ選手は国内の陸上大会でメダルを獲得するなど徐々にその才能が中国全土に知れ渡ることになります。
同年にはソ選手は中国代表としてアジア室内陸上大会において60mに出場して、6秒65の自己ベストを出すまでになります。

2010年

2010年には、60mで6秒58の中国タイ記録を出すレベルにまで成長します。
同年には、中国広州でアジア大会が開催され、ソ選手は男子4x100mリレーの3走として走り、38秒78の大会新記録で金メダルを獲得します!🥇
(この時、日本代表のリレーチームは、2走の高平選手と3走の安孫子選手間でのバトンパスに失敗し、予選敗退となっております。2008年まで日本の短距離界を引っ張ってきた朝原選手が引退し、高平選手がリーダーとして引っ張っていかなければならないというプレッシャーなども感じており、高平選手自身も悩んでいる時期だったそうです。)

2011年

2011年、ソ選手は60mにおいて6秒56の中国新記録を叩き出しシーズン序盤から好調を見せ始めます。
同年、兵庫県神戸市で開催された陸上のアジア選手権では、男子100mにおいて10秒21の自己ベストで優勝を果たします!🥇
さらに、同年開催された中国陸上競技選手権では、100mで10秒16の中国新記録をマークし、ついに中国記録保持者となりました👏

2012年

2012年、ソ選手はトルコのイスタンブールで開催された世界室内陸上で男子60mに出場し、準決勝で6秒74をマークしましたが敗退となりました。
(優勝はアメリカのジャスティン・ガトリン選手で6秒46、銀メダルはジャマイカのネスタ・カーター選手、銅メダルはイギリスのドウェイン・チェンバース選手と、室内競技にもかかわらず世界のトップスプリンターが出場する大会となりました。)
同年のロンドンオリンピックでは、男子100mと4x100mリレーに出場しました。100mでは準決勝に進出したものの、10秒28のタイムで敗退となりました。
☟が実際のレース動画になります。1:13にソ選手のレースがありますが、隣のレーンを走るウサイン・ボルト選手をスタートから30m付近までリードしていたので、昔から彼がスタートの加速力が優れていたことが分かります。
(この爆発力が強化されて、後に9秒83を叩き出すまでになります。)

また、4x100mリレーでは予選で38秒38の中国新記録をマークしますが予選敗退となりました。

同年に神奈川県川崎市で開催されたゴールデングランプリ陸上では、追い風2.9mではありますが10秒04のタイムを叩き出します。
(個人的にではありますが、当時中継を見ていた私としては、中国の短距離界もここまで来たかとびっくりしたのを覚えています。)

2013年

2013年、ソ選手は南京で開催された室内選手権において、60mで6秒55の中国新記録をマークします。
同年5月には、同じ中国出身のチョウ・バイホウ(張培萌)選手がソ選手の100m中国記録を上回る10秒04をマークしますが、ソ選手もそれを追うかのように10秒06の自己ベストを叩き出します。当時、中国勢に10秒0台が一気に2人も誕生するという快挙でした。
同年には、ロシアのモスクワで世界陸上が開催され、ソ選手は男子100mに出場し準決勝まで進出しますが、スタートの際にフライングをしてしまい失格となってしまいました。
(準決勝の別の組では、先程紹介した同じ中国の張培萌選手が、10秒00をマークして中国新記録をさらに更新し9秒台が目前に迫りました。)

2014年

2014年、ソ選手は100mで9秒台を出すという目標を叶えるため、アメリカのフロリダ州にあるスポーツの名門校であるIMFアカデミーに修行しに行きます。
この時に、当時中国の走り幅跳びのコーチをしていたランディ・ハンティントン氏と偶然に出会うことになります。ハンティントン氏はソ選手のスタート時の足を変えるという大きな選択を提案します。
ハンティントン氏は、ソ選手を押してその際に左右どちらの足が最初に反応するかをテストしました。結果、最初に踏み出されたのは右足だったので、スタートの1歩目を右足から出した方がスムーズにいくと提案しました。

確かに調べてみると、☝の画像の通りソ選手はスタート時の足を変えていることが分かります。
ハンティントン氏に指導を受けた2014年は、まだ慣れていなかったせいもあり左足が前になったままでしたが、2015年からは左足が後ろに変化し、スタート1歩目が右足になるように改善されています。

同年にポーランドのソポトで開催された世界室内陸上に男子60mで出場し決勝に進出、6秒52の中国新記録を樹立しましたが、3位のカタールのフェミ・オグノデ選手と0.003秒差で4位という結果に終わりました。
☟フェミ・オグノデ選手を紹介した記事はこちらになります!

また、同年韓国の仁川で開催されたアジア大会では、男子100mで10秒10を記録し銀メダル🥈を獲得、さらに男子4x100mリレーでは3走を務め37秒99のタイムで優勝しました。🥇
(2007年大阪世界陸上で日本チームがマークした38秒03のアジア記録を破り、アジア初の37秒台をマークし、アジア陸上界を震撼させました、ついにアジアの短距離界もここまで来たのかと。)

ついに9秒台をマーク!

2015年、ソ選手に転機が訪れます。
5月にアメリカのユージーンで行われたダイヤモンドリーグで、100mに出場したソ選手は、なんと9秒99の中国新記録をマークします!👏
このタイムは追い風1.5mですので公認記録となります!

1レーンの赤い中国のユニフォームを着たのがソ選手です。ラスト20mはバランスが崩れていましたがそれでも渾身のフィニッシュをして見事10秒の壁を破りました👏


同年、8月には地元中国で世界陸上が行われソ選手は男子100mと4x100mリレーに出場しました。
100mでは準決勝でまたしても9秒99をマークしました!
隣に世界記録保持者のウサイン・ボルト選手がいるにもかかわらず、中盤までリラックスしながら自分の走りをみせました!

ソ選手は準決勝1組目で4着となり、着順では決勝進出ができず、2、3組目のタイム次第で決勝進出が左右されることになりました。
この時、準決勝の3組にいたフランスのジミー・ビコ選手と9秒986秒まで同タイムとなり、ソ選手も100mの決勝に進出することになりました。👏 
世界陸上でアジア勢が男子100mの決勝に進出するのは史上初となりました!!
(なお、決勝では10秒06で9位となりました。正式に入賞となるのは8位までなのでこの時ソ選手は入賞という実績は与えられませんでした。)

4x100mリレーでは、予選で37秒92のアジア新記録をマークすると、決勝では38秒01で銀メダルを獲得しました🥈

2016年

2016年、アメリカのポートランドで開催された世界室内陸上において、ソ選手は男子60mに出場。準決勝で6秒50のアジア新記録をマークして2大会連続の決勝進出をしましたが、決勝では6秒54で5位となりました。
同年に開催されたリオデジャネイロオリンピックでは、100mと4x100mリレーに出場。100mでは準決勝に進出して10秒08のシーズンベストをマークしましたが、準決勝敗退となりました。
4x100mリレーでは、予選1組で37秒82のアジア新記録をマーク。(予選2組で日本が37秒64のアジア新記録をさらに更新。)
決勝では4位に終わり、ソ選手はシーズンを終了しました。

2017年

2017年、ソ選手はユージーンで開かれたダイヤモンドリーグに出場し9秒92をマークしました。(この時は追い風2.4mだったので参考記録となりました。)
同年8月にロンドンで開催された世界陸上では、男子100mの準決勝で10秒10をマークしてタイムで拾われて2大会連続の決勝進出を果たしました!👏 
決勝では10秒27とタイムを落とし8位に終わりましたが、自身初の世界陸上ファイナリストとなりました。(先ほども説明した通り、前回大会の2015年では9位だったので正式には入賞しておりません。)


2018年

2018年、ソ選手はさらに躍動を見せます!
同年3月に行われた世界室内陸上では、男子60mに出場。3大会連続の決勝進出を果たしただけでなく、なんと6秒42の世界歴代7位(2024年現在)兼アジア新記録で銀メダル🥈を獲得します!👏

Men's 60m | World Indoor Championships Birmingham 2018
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同年6月に、スペインのマドリードで開催されたワールドチャレンジミートでは、なんと男子100mで9秒91のアジア新記録で優勝をします👏 この3日前には、同じ中国のシャ・シンギョウ(謝 震業)選手が9秒97の中国記録をマークしていたので、それをさらに塗り替える快挙となりました!

このマドリードでの1週間後に、ソ選手はダイヤモンドリーグパリでまたしても9秒91をマークし好調を見せます。

同年8月にジャカルタで行われたアジア大会で男子100mに出場したソ選手は、9秒92をマークし金メダルを獲得します🥇
(このレースは、2位にカタールのフェミ・オグノデ選手の弟であるトシン・オグノデ選手が10秒00、3位に日本の山縣選手が同タイム着差ありで10秒00と、アジア大会史上最高レベルの戦いとなりました。)

ソ選手は2018年を振り返り、「私にとって2018年は素晴らしい年であり、キャリアの中で最も思い出深い年となりました。数々の成績を残し、世界最高レベルのスプリンターたちと競い合ってこのような結果を出せたことは、自分の自信につながりました。
と語っています。

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2019年

2019年、ソ選手はカタールのドーハで開催された世界陸上に男子100mに出場し準決勝に進出しますが、10秒23のタイムで敗退しています。

2021年

2021年、ついにその時を迎えます。
新型コロナウィルスが世界的に流行し、1年後ろ倒しとなった東京オリンピック。
ソ選手は男子100mと4x100mリレーに出場しました。
100mでは予選を10秒04のタイムで通過します。

そして迎えた準決勝。。。
スタートの号砲が鳴ったと同時に一気に飛び出すソ選手、他を全く寄せ付けません!! 後ろからイタリアのマルセル・ジェーコブズ選手と、アメリカのロニー・ベイカー選手が迫りくる中、1着でゴール。
タイムは何と、、、☟


えっ?! 9秒83!!!!!


アジア人として誰も見たことない数字です!!!👏
しかも、この時の60m迄のタイムは6秒29で、60m世界記録保持者でアメリカのクリスチャン・コールマン選手よりも速かったという事です!!
※コールマン選手を紹介している記事はこちら☟

しかも、オリンピックの歴史に中で1932年ロサンゼルスオリンピック吉岡隆徳さん以来のアジア勢の100mの決勝進出。さらに非アフリカ系としては1980年モスクワオリンピック以来の決勝進出となりました。👏

その後数時間後に行われた男子100mの決勝ではタイムを落とし、9秒98で6位という結果になりました。

男子4x100mリレーでは、中国チームの3走として出場したソ選手。
決勝では4着でゴールしましたが、2位のイギリスチームの1走を務めたCJ・ウジャ選手のドーピング違反が発覚し繰り上がりで銅メダルを獲得しました🥉

2022年

2022年、ソ選手はアメリカで開催された世界陸上ユージーン大会で男子100mに出場しますが、10秒15のシーズンベストで予選敗退という結果に終わりました。


その後、ソ選手は2024年パリオリンピックにも出場を辞退していることから、競技から遠ざかっています。
しかし、正式に引退をしたわけではないようです。

2025年

2025年、ソ選手が帰ってきました!!
地元中国で行われた中国陸上グランプリで男子100mの予選に出場したソ選手、10秒48をマークします。
全盛期のキレからは遠ざかっているものの、得意とするスタートから一気に加速して2着となりました。

44:20あたりからソ選手のレースが始まります。

彼はいつまで自身のキャリアを続けるのか、注目です!

年次ベスト

60mの年次ベストです。
100mの年次ベストです。

その他の情報

学歴

ソ選手は2017年の済南大学の国際経済と貿易学の修士号を取得。
さらに、2018年4月からは済南大学の体育学の准教授に任命されています。
まさに文武両道ですね、仮に陸上競技を引退したとしても、大学でのキャリアという選択肢があるのである程度は安心してセカンドキャリアを歩めることでしょう。

活動

2015年、ソ選手は地元広東省にある二沙島という島に住んでいる学生向けに「Walking for Love」という募金活動を行いました。集められたお金は、二沙島の子供たちの読書力向上のために使われました。

SNS

ソ選手のSNSですが、本物か偽物か分からないものが複数出回っており、混乱を招く恐れがあるので本ページでは載せません。

また、中国ではTwitterやInstagramがVPN・中国政府の政策の関係で使用できないこともあり、ソ選手が公式にSNSアカウントを持っていたとしても、ソ選手が中国国外に出ない限りは更新されることは無いでしょう。(中国版Twitterはアカウントがるかもしれません)

まとめ

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ソ選手は陸上のスプリント界において間違いなく多大な功績を残してきたと言えます。
屋外の世界大会での個人メダルこそ獲得はしてませんが、リレー、世界室内陸上でのメダル、またそれ以上に60mと100mでのタイムで世界に衝撃を残しました。

まだ、正式に引退をしていない(2025年現在)ので、もう一度彼が国際大会の舞台に戻ってくる姿を見たいです!

今後ともソ選手に注目しましょう!

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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日本在住海外トラベラーのブログ / 世界20ヵ国以上訪問🌍 / フランス人のパートナーと国際恋愛して2年半🇫🇷 / 英語は独学でB2レベル ブログとnoteのチェックをお忘れなく
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